お話を伺っている間にも、マンションにお住まいの方々の出入りは、頻繁です。
そのたび、松村さんは明るく「おかえりなさーい」「気をつけていってらっしゃい」など声をかけていらっしゃいました。
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みなさんの名前は、だいたいお判りなんですか? |
| 松村 |
「ええ、やはり最初は人の名前を覚えようと。でないと、よその人が来ても分からないので。でも、昼間いらっしゃらないご主人の顔は、なかなかわからなくて、最初失敗したことがあるんですよ。不審な人と間違えてしまって、ご迷惑をおかけしました。あとで奥様にも謝ったら、『それぐらいきびしくされているんだったら、住んでいるほうは安心です。』と、よい方向に捉えてくださって。」
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では、みなさんの名前と顔は、だいたいお判りなんですね。 |
| 松村 |
「そうですね。できるだけあいさつをして覚えました。こちらが気づいたら、私の方からあいさつするようにして。でも、住んでいる方に、あまり立ち入ってもいけないんです。長くいると、住んでる方の方から話し掛けてくださったりもしますが、プライバシーの領域に踏み込んだりしちゃいけないんです。」
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そのあたりが、いちばん気を遣うところですか? |
| 松村 |
「ええ、やっぱり。でも、普段から基本的な仕事をちゃんとやってないと、そういったコミュニケーションも、うまい具合にいかないですよね。」
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このお仕事をしていて、やりがいを感じるところは? |
| 松村 |
「やりがい、といいますか、ささやかな喜びですけど、毎日の繰り返しの中で(緊急事態があっては困るので、それが一番いいことなんですけど)、住んでる方々とのふれあいを感じる時、ですかね。例えば、ごくたまに有給休暇でお休みした後に、「体の具合が悪いのかと思ったのよ。」と声をかけて下さったり、小さな鉢植えを飾っていたら、「いいねー。」と言って下さったり。そんなちょっとした言葉のやりとりに、ささやかな喜びを感じますね。そういう、人とのコミュニケーションって、私の性分に合ってるんだと思います。住んでいる子供さんが、中学に入ったことを報告してくれたとか、そういうこともありましたね。」
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そうなんですか。住んでいる方の成長も感じるわけですね。
このお仕事はずっと続けていきたいですか? |
| 松村 |
「ええ、元気だったらずっと続けたいと思いながらやってます。でも、それはここの皆さんがよい方々だから、私の性格がみなさんに合っているから、うまくいってるのだと思います。そうでなかったらそう言えないですもんね。やはり人対人の仕事ですから。」
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今日は本当にありがとうございました。 |
| 松村 |
「こちらこそありがとうございました。」
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| お話を伺ってみて、わたしたちが普段あまり気にとめないことですが、細やかな気配りをしていらっしゃることを感じ取ることができました。しかし、この気配りなくしては、快適なマンションライフは望めないのではないでしょうか。松村さんに見送っていただいた後、玄関脇に小さく控えめな鉢植えの花が揺れているのが見えました。なんだかとても、暖かいものを感じました。 |